こんにちは、管理部さんです。今回の記事は『BCP(緊急時企業存続計画』についての記事です。まずはこちらをご覧ください。
こちらはとある日に内閣府より発表のものを画面キャプチャしたものです。時期として台風19号が発生してから1か月後ぐらいです。今年は特に台風被害の印象が強いです。
災害が起き、会社が被害に遭うと本業がままならなくなります。軽微であればまだ立て直しが簡単ですが、大規模となると、資金的な援助だけではどうにもならなくなります。そこで政府が推進している災害時対策(マニュアル)にBCPというものを活用します。
今回はそんなBCP作成を会社で担当したのでノウハウを紹介いたします。政府として、推進しているBCPとはちょっと違いますが、簡単にできるところをピックアップしてあるのでお読みいただければと思います。
「とりあえず保険入っているから災害対策オッケー」「備蓄あるからおっけー」なんて気楽に考えている方…申し訳程度に言わせてもらうと、ほとんど対策もしていないのと同様です。
さらに簡単なところの実施方法を先に載せておきます。
- 短期な事業存続計画
- 従業員の安否確認方法を決める
- 災害時の担当を決める
- いつ:地震火災水害停電別で決める
- 誰が:人別もしくは、部署別
- 何を:「安否確認(家族や住宅含む)」「災害規模の確認」「帰宅計画」
- 中期的な事業存続計画
- 2つの線引きを決める(存続か廃業か、緊急事態か通常通りか)
- 災害時の担当を決める
- いつ:地震火災水害停電別で決める
- 誰が: 人別もしくは、部署別
- 何を:「被害規模の確認」「周辺インフラの確認」「社内設備の状況の確認」
- 災害前に備えておく
- 備蓄品リストの作成・調達
- 提携先を決め提携する(同業他社/地域)
そもそもBCP(事業継続計画)って何?災害に関連するっぽいけど
会社サバイバル術 BCP(Business Continuity Plan)とは…
そもそもBCPって何ぞやという人のためまずはBCPについて。BCPとは、Business Continuity Planの略で災害に対して早期復旧を可能にするためにする対策のことです。
企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
引用:中小企業庁 https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_01_1.html
これは経済産業省中小企業庁が主に推進しています。あなたや私が考える災害対策と違うところは、企業の継続の焦点を当てているいるため、網羅的な対策を施すことですね。多くは地震について考えることが多いですが、水害、火災、停電など比較的小規模まで網羅します。
一般の人の場合の災害対策は、「3日分の備えをしよう」ぐらいですが、企業はそうはいきません。
大規模な被害に遭ったら納品ができない、仕入ができない、資金繰りが回らないなどの事態となります。そうなれば、会社の存続が難しくなります。言い換えれば、
「人が亡くならなくても法人が亡くなります」
法人が亡くなれば、結果的に経営者を含め、従業員が路頭に迷ってしまいます。逆に事前に対応していれば、他の企業が災害の復興に時間がかかっている間に自分の企業は一歩出し抜くことも可能です。
BCPを進める理由と中小企業庁
とりわけ被害場所でない納品先に納品が行えないと別の企業に切り替えられて信用を無くすという事態になりかねません。こういった経済や物流などの被害に備えることもこのBCPに含まれています。 中小企業庁では、推進しているだけあってBCPの特設ページがあり充実しています。まずは、中小企業庁に下の取組み状況チェックがありますのでやってみましょう。
人的資源 | 緊急事態発生時に、支援が到着するまでの従業員の安全や健康を確保するための災害対応計画を作成していますか? |
---|---|
災害が勤務時間中に起こった場合、勤務時間外に起こった場合、あなたの会社は従業員と連絡を取り合うことができますか? | |
緊急時に必要な従業員が出社できない場合に、代行できる従業員を育成していますか? | |
定期的に避難訓練や初期救急、心肺蘇生法の訓練を実施していますか? | |
物的資源(モノ) | あなたの会社のビルや工場は地震や風水害に耐えることができますか? そして、ビル内や工場内にある設備は地震や風水害から保護されますか? |
あなたの会社周辺の地震や風水害の被害に関する危険性を把握していますか? | |
あなたの会社の設備の流動を管理し、目録を更新していますか? | |
あなたの会社の工場が操業できなくなる、仕入先からの原材料の納品がストップする等の場合に備えて、代替で生産や調達する手段を準備していますか? | |
物的資源(金) | 1週間又は1ヵ月程度、事業を中断した際の損失を把握していますか? |
あなたは、災害後に事業を再開させる上で現在の保険の損害補償範囲が適切であるかどうかを決定するために保険の専門家と相談しましたか? | |
事前の災害対策や被災時復旧を目的とした融資制度を把握していますか? | |
1ヵ月分程度の事業運転資金に相当する額のキャッシュフローを確保していますか? | |
物的資源(情報) | 情報のコピーまたはバックアップをとっていますか? |
あなたの会社のオフィス以外の場所に情報のコピーまたはバックアップを保管していますか? | |
主要顧客や各種公共機関の連絡先リストを作成する等、緊急時に情報を発信・収集する手段を準備していますか? | |
操業に不可欠なIT機器システムが故障等で使用できない場合の代替方法がありますか? | |
体制等 | あなたの会社が自然災害や人的災害に遭遇した場合、 会社の事業活動がどうなりそうかを考えたことがありますか? |
緊急事態に遭遇した場合、あなたの会社のどの事業を優先的に継続・復旧すべきであり、 そのためには何をすべきか考え、実際に何らかの対策を打っていますか? | |
社長であるあなたが出張中だったり、負傷したりした場合、 代わりの者が指揮をとる体制が整っていますか? | |
取引先及び同業者等と災害発生時の相互支援について取り決めていますか? |
引用: 中小企業庁 BCP取組状況チェック(https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_a/bcpgl_01_3.html)
「はい」が16個以上つけば、取り急ぎBCPやらなくても問題ないようですが、3個以下の場合は早急に対策を立てる必要があります。
実務的なBCPのやり方と策定方法
中小企業庁のサイトは、対策が充実しているものの網羅的すぎて何をやればよいのかわからん!ということも多いです。簡単な考え方として、3つやることがあります。
- 何を優先するのかをよく決めておく
- 事前に「いつ(どんな時に)」「だれ(部署)が」「何を(どう)するか」を決めておく
- 災害に「物的資源」「人的資源」「情報資源」「金銭」の備えをしておく
この3点を考えておけば、ざっくりBCPが出来上がります。また、どのフェーズでも重要なのが
「現状確認」
です。BCPを策定する時も実際の災害時も「今どうなっているのか」を確認します。
【災害発生直後】超短期的な事業存続計画を作る
超短期的なBCPを作るのは簡単です。なぜなら、一般家庭の防災をほぼマネすれば完了するからです。ちなみにおすすめは、東京都から出ている防災ブックがおすすめです。本もありますが、PDFで無料で取得できます (東京防災:https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/006/390/all_8ver.pdf)
ちなみに、フェーズごとに重要視する部分があります。超短期的なフェーズは人命です。特に企業であれば、マニュアルを作らなかったがために、または従業員を優先しなかったがために損害賠償なんて話もあります。そして時系列的に重要視するものはおおむね以下のとおりです。
フェーズ | 期間 | 重要視すること |
1 | 発生~直後 | 人命、災害の状態(規模、被害度) |
2 | 発生後~3日 | 従業員の安否、各家族の安否、人的被害状況 |
3 | ~1週間 | 従業員とその家族の状態、物的被害状況、資産/資金の状態 |
4 | 1週間~ | 業務の再開目途、限定的な業務の開始、保険・資金調達 |
発生直後から1日はだいたいフェーズ1~2ぐらいです。なんでこんなにぶれるのかというと、災害は地震などの数秒~数分で終わるもの、火災などの数時間で終わるもの、台風をはじめとした水害など数時間~半日規模で終わるものがあるからです。
【災害発生後】超短期的な事業存続計画を作る
短期的なBCP計画もある程度はサクッと作れます。短期的な計画で重要となるのが従業員/家族の安否と災害規模の確認です。作るときは下記のことを考えながら進めると割とうまくいきます。フェーズで言うと2ぐらいです。事業存続計画と書いておりますが、ほぼ災害発生直後におこなう安否確認や災害の状況の担当者を決めるだけです。
ここぐらいなら特別な予算や大きな会議など必要とせず総務担当者でサクッと作って会社の承認を得るぐらいのことはできます。但し、担当者は絶対に複数人作ることが重要です。災害規模によって安否不明の方が出てくることもありますし、いつも会社にいるとは限りません。
安否確認の方法を決める
安否確認は災害伝言ダイヤルが有名ですね。NTTに詳しい説明があります。ただ、それ以外にも1~2つ程度の連絡手段を持っておくとよいかもしれません。おすすめは、グループウェアサービス、ソーシャルネットワークサービスあたりです。日ごろ使っているfecebook、LINEなんかもおすすめです。
NTT | http://www.ntt-east.co.jp/ |
Face book | https://ja-jp.facebook.com/help/141874516227713/?helpref=hc_fnav |
LINE Works | https://line.worksmobile.com/jp/blog/staff/how_to_confirm_safety_on_lineworks/ |
災害規模の状況
被害規模ではありません、念のため。
災害が発生する(した)段階では、災害が起こりうる危険があります。地震の場合も局所的なのか、大規模なのか、津波の危険性があるのか、火災はあるのかなど素早く情報を収集しなければなりません。
ここでとりまとめがいればその人に情報というバトンを渡し、災害の状況を手早く確認できます。
帰宅計画を決める
地震や台風などの大規模災害の場合、帰宅の優先者、会社に残るものをあらかじめ複数人決めておきます。 時間の猶予のある場合と、交通網の混乱する可能性のある場合の2パターン用意するのが良いです。
遠方から通勤している方は、台風などで災害の予想ができる場合早く帰宅させ、地震などの交通網が直後は混乱する場合は、会社に残るように素早く指示できるからです。
【災害発生から7日目ぐらい】短期的な事業存続計画を作る
まず2つの線引きから始めることをおすすめします。
- 事業存続の可否
- 緊急対策の必要不必要
1つめは、事業存続の可否です。残念ながら事業の存続がどうしても難しい時があります。この見極めは代表者である人が最終決定を下します。まずは想定の中でここまでいったら事業存続できないという部分があるはずです。
例えば、農家ならビニールハウスが10棟あるうちの1棟使えなくても存続可能ですが、水害によりすべて失い、土も海の水で洗われてしまったのであれば、残念ながら事業の存続が限りなく難しくなります。
もう1つは、緊急対策の必要不必要です。これも代表者が宣言することですが、これを宣言して初めてBCPの中長期計画へとシフトします。これを受け従業員は、通常の業務とは違うという心持ちをもって仕事に取組み、事業を前向きに進められる灯となります。また、先々の不安の中で会社は大丈夫という安心感がうまれ、少しでも前向きになります。
その後ですが、下記辺りから作ってみるのが良いと思われます。
被害規模、社内設備の確認
短期では災害規模を確認しましたが、ここでは被害規模の確認をします。被害規模は、人・建物などの確認です。ここはバックオフィス系の方が担当となるかと思います。従業員の安否、家族の安否、住宅の状態を確認してすぐ仕事に戻れる方、戻れない方を確認します。
社内設備はとりわけメインとなる業務に使用するものの状態を確認します。製造業であれば、機械装置、運送会社であればトラック等が安全に使用できるか確認します。おそらく現場の人が担当となりますが、確認の是非によってさらに 「事業存続」、「緊急対策の宣言」、「支援要請」が決まります。サービスを絞って再開するのか、通常通りできるのかは、社内設備の状態が握っています。
インフラの確認
インフラ(電気、ガス、水道、通信、道路状態)を調べます。営業など外出メインの方が担当者になるのがおすすめです。確認するうえで特に盲点なのが道路状況です。その他のインフラはやろうと思えばその場で確認可能ですが、道路状況は、積極的に情報収集しないと集まりません。特に運送系の業種であれば、大きな周辺地図などを事前に用意しておいて状態をメモすることなどが想定できます。
災害が起きた時に備えておきたいもの、事前に確認することのまとめ
会社の現状をまとめる、提携先を探す
会社の現状であれば、まず物的、金銭的にわかりやすいものは、貸借対照表と固定資産台帳です。当たり前ですが結構見落としがちです。そもそも通常運転時に安定していなければ、災害に備えようなんて思いませんから。まずは予算を決めるところから始めても良いです。ざっくり言えば、人数×10,000円/年ぐらいで必要な備蓄は十分に揃えられます。
会社周辺を確認する【ハザードマップを利用し、リスクを知る】
便利な世の中なので国土交通省国土地理院応用地理部地理情報処理課が「重ねるハザードマップ」なるものを作成してくれています。これは会社がどの被害に遭いやすいかを可視化してくれるサイトです。でかでかとバナー貼っておきます。
バナーはちょっと昔感漂いますが、サイトに飛ぶとその地区の想定されうる災害を確認できるのでマジでおすすめです。まずはこれを見て自分の会社がどのような被害に遭いやすいかを確認してください。
提携できるところを確認する
災害が小規模、大規模問わず同業種で提携できる先があれば、かなり事業の復旧がしやすくなります。理想は、近場の他業種、遠方の同業種の提携を見つけることです。それぞれのメリットデメリットは以下のとおり。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
近場 | 支援を受けるのが容易、提携が結びやすい | 大規模災害の際は相手も被害に遭う可能性が高い |
遠方 | 大規模災害の際に被害に遭う可能性が低い | 支援を受けるのも時間と距離の問題がでる、提携先を探すのが難しい |
まずは近場で提携をしつつ、遠方の提携先を探すのが良いです。
バックアップ体制
今は情報社会ですのでどうしても、システム回りがおしゃかになると、本業もままらなくなりますので、バックアップ体制をとったほうが良いです。自社にサーバーを持っている会社であれば、この際レンタルサーバーに移行するのがおすすめです。バックアップ体制も整っているところでいえばおすすめはxserverです。実績もある会社でバックアップ体制が整っています。
災害に強いと謳っているレンタルサーバーもあります。これはバックアップを別地域で行っているためです。例えば東京にサーバーがる場合、バックアップは大阪にしているなどの対応をおこなっています。
備蓄品リストの作成
会社の備蓄品リストは、先ほど紹介した「東京防災」に記載してあるものを人数分で大体完了します。余裕があれば、家族も含めて従業員数×3人×1週間見ておけば、地震などの配給が来るまでの備えが十分ある状態となります。資金に余裕があれば、会社ならではのものもいくつか、備品に入れた方が安全です。例えば…
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です。テントや貯水タンクは、備えてなくても何とかなりますが、発電機は企業に一つ持っておいて損はありません。どの企業も少なくとも電気を使いますので。
BCP作成した後
必ず見直しと備品の確認を定期的に行う
見出しにいれるほど重要です。なぜなら「いざ!となったときに使えなければ意味がない」から。少なくとも年1回行えば、使えなくなっているなんてことはほぼなくなります。一応、企業や団体が良く定期日としている日は以下のとおりです。決め方は繁忙期と重ならない時期です。
1月17日 | 阪神淡路大震災の発生日、防災とボランティアの日 |
3月11日 | 東日本大震災の発生日 |
9月1日 | 防災の日(伊勢湾台風襲来日) |
11月5日 | 津波防災の日、世界津波の日(安政南海地震発生日) |
行うことは、備蓄品の整理とBCPの更新です。できれば、訓練を行った方が良いですが、そんな時間も取れないのも現実ですのでマニュアルを社内報や従業員に配布するなどのやり方は重要です。
いざとなった時に必要だとわかるのは遅いです。 社外的にアピールもできるので、やろうと決めた段階ですぐ作った方が企業のためになります。
以上、『BCP』についてでした。最後までお読みいただきありがとうございます。
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