こんにちは、管理部さん(@acts1216)です。今回は「お取引先登録票」についての記事です。
新規営業担当や経理、財務、法務の方を除けば多くの人がお取引登録票について知らないと思いますので、基本的なことも含めてまとめました。
私は長年お取引先登録書が不要だと感じていた人間です。なぜなら契約書さえあれば、それ以外の情報はいらないと考えていたからです。ただ、最近経理側で有効な手段として利用ができることが分かったので記事にします。
そうそうあれっていまいち使い方がわからない書類の一つなんだカモよー
そもそもお取引先登録票ってなに?
お取引先登録票とはその名のとおり、取り引きを開始する企業や個人事業主に自社/事業主の情報を記入してもらう書類です。
この書類は掛売り取引などの与信管理の外、顧客への商品提案の際に必要な貴重な情報源となっています。会社によっては疑似的な取引契約書類として使う会社もあります。
契約書と取引先登録票の違い
契約書と取引先登録書は、新しく継続的な取引を行う時にもらう/渡す書類で同じタイミングで目にすることも多いです。
ちょっとだけわかりにくいので契約書と登録票の違いを販売者側(取引先登録票の記入をお願いする方)表でまとめました。
契約書 | お取引先登録票 |
---|---|
問題のない取引をするために交わす書類 | 与信管理や新規取引先の実態を把握するための書類 |
取引をするにあたってのルール(取引の形態、締め日支払いのルール、納品・検品のルール、その他細かいルールなど) | 新規取引先の基本情報(担当者の名前、電話番号、他の仕入れ先、販売先、取引銀行など) |
ルールの変更時(締め日等の変更)、取引終了時 | 不良債権の回収時(株主や販売先・仕入れ先・取引銀行の確認) |
こうしてみると、目的から決定的に違うことがわかります。
お取引先登録書に書かれてある内容
わたしは経験として数百顧客と取引契約(契約書、登録票)をチェックした実績があります。見てきた中ではだいたい下記の内容が書かれてあります。
- 会社基本情報
- 社名
- 代表者名
- ホームページ
- 住所
- 電話番号、FAX番号
- 企業情報
- 設立年月日
- 資本金
- 昨年度売上高
- 事業内容
- 従業員数
- 株主
- 取引先情報
- 仕入先
- 販売先
- 取引銀行情報
- 担当者情報
- 役職 名前
- 携帯電話番号
- 取引条件
- 支払い条件(締め日、翌支払日)
- 支払い情報(振込、手形、現金、カード)
- 請求書送付先
しっかり管理してそうな会社や大企業だと、設立年月日や株主、昨年度売上高あたりが項目としてあるところが多くあります。あまり記入欄のない会社でも会社基礎情報と取引先情報ぐらいは載っています。
なんでこんなにも情報を取られるのかというと、ほとんどの場合は与信管理のためです。与信管理は” 販売する会社がどのぐらいまで相手を信用できるのか(お金をちゃんと払えるのか)”を数値化して締日や支払日の長さを決める管理方法のことです。
自分が仕入れ先とする場合、相手からの与信が高ければ、販売金額が高くなったり、締め日や支払日が長くなったりするため、資金繰りが良くなります。
逆に与信が低ければ、販売制限を掛けられたり、締め日や支払日が短くなったり(早く支払わなければならない)するため、資金繰りが悪くなります。
登録票上での与信が低い場合でも、取引の実績が増えれば、与信が高くなり、結果として仕入れの資金繰りが上がります。
お取引先登録票を有効利用するために
仕入先/販売先情報はマーケットを奪うために役に立つ
多くの中小企業 では仕入れ先情報や販売先情報は、”とりあえず取っておく”情報であり、残念ながら有効利用することがあまりありません。
しかし、特定の地域で仕入れ先情報を持っている場合、競合他社の名前が判明することになるので、シェアを奪う際は次の一手が打ちやすくなります。
倫理観や商業感はさておき、販売先情報は取引会社が無くなった際に営業をする際の潜在顧客となりうる会社の情報が取得できます
与信管理、債権回収に必要な情報が取れる
私が最近登録票に記入してもらってよかった思ったことです。
取引先の中には残念ながらお金を払ってくれない業者が少なからずあります。そこで強制執行(裁判所などを通じて強制的に取り立てる方法)という手段をとるのですが、その際に必要なのが相手の財産や債権の情報です。
財産の一つの情報として、取引銀行がありここで取引登録票が活躍します。
強制執行時に必要な情報が”銀行名””支店名”です。これがないとどこを差し押さえることができないです。一応、以前の入金取引内容を確認すれば特定できないこともないのですが、初回だったり、長期的な不良債権だったりした場合、”銀行名””支店名”がわからなくなる可能性もあります。
万が一わからない場合、探偵を雇ったり、弁護士から情報を取得するため余計な出費がでてしまいます。
そこで登録証に記載されていれば、差し押さえの手続きが可能となります。複数口座を記入してもらっていれば複数にも差し押さえが可能なため債権者にとっては有利に働きます。
お取引先情報を書く側の注意点
逆に書く側(多くの場合は仕入れ/債務者側)にとっては自社情報を一部開示しなくてはならないので注意が必要です。
特に”同業他社”や商業的に川上・川下にいる会社との取引で記入する際は販売先、仕入先の情報に関して不用意な名前を書くことは不利になります。
対抗策として相手先も取引している可能性が高い、ある程度知名度のある会社(大企業など)を記入するのがお勧めです。
融資ではない資金調達はZEROにお任せ下さい!お取引先登録票のまとめ
今はカード決済、電子決済など決済手段が増えていますが、対企業の取引を始める際はほとんどの場合記入します。
そんな中でこちらが販売元となった場合、債権回収に一役買うということ、マーケティングツールとしても生かせる可能性があるということを覚えておくと、かみっぺら一枚ですが役に立ちます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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